競合コンペに参加しない理由

小野デザインでは、基本的に複数のデザイン会社が同時に案を提出し、
その中から1社を選ぶ「競合コンペ」には参加していません。

以前は、私たちも競合コンペに参加していました。

しかし、さまざまな案件を経験する中で、
「本当にお客様にとってより良いものをつくるためには、
コンペという方法が必ずしも最適ではない」と
考えるようになりました。

私たちの仕事は、
見た目をデザインすることだけではありません

小野デザインでは、
デザイン制作に入る前の段階をとても大切にしています。

たとえば会社案内やパンフレットであれば、

「誰に読んでもらうのか」
「何を一番伝えたいのか」
「どんな情報が必要なのか」
「逆に、なくてもよい情報は何か」
「どんな順番で見せれば伝わりやすいのか」

といったことを、
お客様との打ち合わせの中で一緒に考えていきます。

紙面のレイアウトや色、写真といった見た目だけではなく、
ページ構成やコンテンツの内容、
情報の優先順位まで含めて設計していくのが、
小野デザインの制作スタイルです。

お客様から最初にいただいた原稿や資料を、
そのままきれいに並べるだけではありません。

お話を伺う中で、

「それなら、この内容も入れた方がいいですね」
「こちらは少し情報を整理した方が伝わります」
「このページは先に持ってきた方がよいのではないでしょうか」

といった提案をしながら、
伝える内容そのものを一緒につくり上げていきます。

これは、小野デザインが特に大切にしていることであり、
私たちの強みでもあります。

一緒につくり上げることが大切です

私たちは、制作会社が一方的に「正解」を出すのではなく、
お客様と一緒につくり上げていくことが大切だと考えています。

お客様は、自社の商品やサービス、
会社のことを誰よりもよく知っています。

一方で私たちは、第三者の視点から情報を整理し、
「どうすれば相手に伝わるか」
「どのように見せれば魅力が伝わるか」を
考えることができます。

この二つを掛け合わせることで、
はじめて、その会社らしく、目的に合った制作物になっていきます。

打ち合わせの中で話しているうちに、
最初には出てこなかった大切な情報が見つかることもあります。

こちらから質問することで、
「そういえば、そこはもっと伝えたいところだった」と
気づいていただくこともあります。

そうしたやりとりを繰り返しながら、
何を伝えるのか、どんな順番で伝えるのか、
そしてどのように表現するのかを一緒に考えていく。

私たちは、このプロセスそのものが、
良いものをつくるために欠かせないと考えています。

良いものは、最初の1案だけで
完成するものではありません

制作は、

「依頼を受ける → デザイン案をつくる → 完成」

という単純なものではありません。

まず、お客様のお話を伺います。

なぜ今回制作するのか。
誰に伝えたいのか。
どんな課題があるのか。
会社や商品のどこを一番知ってほしいのか。
これからどうしていきたいのか。

こうしたことを話しながら、
必要な情報を整理し、構成を考え、
その上でデザインへ落とし込んでいきます。

そして最初の案をご覧いただいたあとも、

「ここはもっと強く伝えたい」
「この順番の方が分かりやすい」
「この内容は、もう少し詳しく説明したい」
「実際に紙面にしてみると、こちらはなくてもよさそうだ」

といったやりとりを重ねます。

そうすることで、見た目だけでなく、
内容そのものも徐々に磨かれていきます。

私たち自身も打ち合わせを重ねるほど、
お客様の会社や商品について理解が深まり、
より良い提案ができるようになります。

つまり、良い制作物は、お客様と制作会社が一緒に考えながら
育てていくものだと私たちは考えています。

コンペでは、深い打ち合わせが難しくなります

競合コンペの場合、
多くは最初にオリエンテーションや資料の説明があり、
それをもとに各社が提案を制作します。

しかし、参加するすべての会社と
何度も打ち合わせをすることは
現実的には難しいため、
一社一社が深くお客様のお話を聞く時間は限られます。

すると制作会社側は、渡された資料や限られた説明から、

「おそらくこういうことを求めているのだろう」

と推測しながら提案をつくることになります。

もちろん、その中から素晴らしい案が生まれることもあります。

ただ私たちは、見た目のデザインだけを競うのであればともかく、
構成やコンテンツまで含めて本当に良いものをつくろうとすると、
やはり十分な対話が必要だと考えています。

「一番きれいな案」を選ぶことと
「一番良いもの」をつくることは少し違います

コンペでは、提出された複数の案を比較して、
その中から良いものを選ぶことになります。

一方、通常の制作では、
最初に出した案がそのまま完成形になるとは限りません。

A案の構成が良い。
B案の見せ方も取り入れたい。
話しているうちに、そもそも伝える内容を少し変えた方がよいと分かった。

そうした発見を繰り返しながら、
制作物を育てていきます。

私たちは、

話す → 整理する → 構成する → デザインする → 見る → また話す → さらに良くする

というプロセスを大切にしています。

制作会社を選んでいただいてから、
一緒につくりたい

競合コンペには、「実際の案を見てから会社を選べる」
というメリットがあります。

その一方で私たちは、
過去の制作実績や仕事の進め方、考え方をご覧いただき、

「この会社と一緒につくってみよう」

と思っていただいた上で、
ご依頼いただく形を大切にしています。

そして、ご依頼いただいた仕事にはしっかり時間をかけ、
お客様と何度も話しながら、必要なコンテンツを考え、
構成を組み立て、デザインをつくっていきたいと思っています。

コンペに参加しないのは、
制作のプロセスを大切にしたいから

競合コンペという仕組みそのものを
否定しているわけではありません。

案件や目的によっては、コンペ形式が適している場合もあると思います。

ただ、小野デザインの仕事の進め方には、
コンペよりも、お客様ときちんと向き合い、
対話を重ねながら一緒につくっていく方法の方が合っています。

私たちがつくりたいのは、
単に「見た目の良いデザイン」ではありません。

何を伝えるべきかを一緒に考え、
情報を整理し、構成を組み立て、
それを最も伝わる形にしていくこと。

そこまで含めて、私たちはデザインの仕事だと考えています。

だからこそ、

競い合って案を出すことよりも、
お客様と一緒に考え、つくり上げていく時間を大切にしたい。

それが、小野デザインが競合コンペに参加しない理由です。