AIによるロゴデザイン、著作権と商標権にご注意

今日、取引先の方とのオンラインミーティングで
AIがロゴをデザインしてくれるサービスを知りました。

簡単にすぐにロゴができて便利です。
ですが、注意が必要です。

とりあえず、下記の問題があげられます。(熟考すると、もっと出てくるかもしれません)

1.著作権の問題
2.商標権の問題
3.オリジナリティの問題
4.ロゴのコンセプトの問題
5.視認性の問題
6.ロゴ決定の指針の欠如

まずロゴとは
ロゴとは、企業、屋号、グループ、団体、組織、商品、サービス、周年、コンテスト、催事、イベント、認証、資格、個人などのあらゆる名称をデザイン表現したものです。関連するもの、使命、ビジョンなどを表現し、存在の認知、他との区別、使命やビジョンの表明、イメージの伝達、記憶の補助、安心・信頼の印、ブランドの形成、ブランドの想起、再生、スタッフの思いの反芻、スタッフの意思統一などを担います。

活版時代に文字単体をタイプといい、いくつかの文字がまとまったものをロゴタイプと読んでいました。その歴史的な流れから名称をデザイン表現したものをロゴと簡略化され呼ばれています。

以下、問題点です。

1.著作権の問題
結論から言うと、著作権の「創作的」について、既存の著作物との差異(表現者の個性)が表れていればよいのですが、どうしても似てしまうのではないでしょうか?
それと、著作者に与えられる著作者人格権は誰が持つのでしょうか?AI?運営会社?利用者?

日本の著作権法では「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法第2条第1項第1号)と定めています。
創作的に表現したものですので、アイデアは著作権が適用されません。また、創作的に表現していない、事実のニュースやデータも著作権が適用されません。「創作的」については、既存の著作物との差異(表現者の個性)が表れていればよく、新規性や独創性は求められず、区別できる程度であればよいとされています。
ゲームなど、新しい技術によって出現した著作物についても保護の対象として追加されてきています。
美術的分野では、著作権のほか、意匠権が工業デザインの権利を保護します。
著作権は原則として美術鑑賞のための作品などに適用されます。実用品には適用されません。
著作権は特に登録は必要ありません。無方式主義と呼ばれています。作られた時点、公表された時点で著作権が適用されます。
偶然の一致は、著作権侵害になりません。ただし著作者が、他人の著作物を依拠(参考に)し、似ている著作物が出来上がった場合、著作権侵害になる恐れがあります。

著作権には、著作権(財産権)と著作者人格権があります。著作者人格権は、氏名公表権、公表権、同一性保持権があります。著作者人格権は、第三者に譲ることはできません。

2.商標権の問題
AIで作ったロゴを商標登録類似調査をする必要があります。万が一、同じ区分で似たデザインが商標登録されていた場合、「使用の差し止め」や「損害賠償」を請求されます。

先に商標登録されたものが商標権で守られます。商標権に基づいて保護された商標は、侵害された場合、「使用の差し止め」や「損害賠償」を請求できます。

・商標を登録する必要があります。(登録主義)
・商標登録するのに、審査があります。(審査主義)
・先に商標登録した者が権利を主張できます。(先願主義)
・一つの権利者しか認めらません。(絶対的権利)
・同じデザインのロゴであっても役務が違えば商標登録できます。
・審査はすでに登録されているものと、識別できかどうかが問われます。

3.オリジナリティの問題
今ある画像データを元にロゴを作るので、唯一無二のオリジナルのデザインを作り出すのは難しいのではないでしょうか? 他のものと似ていても良いのでしたら、問題ありませんが、果たしてそのような考えでビジネスが成功するのでしょうか?

4.ロゴのコンセプトの問題
ロゴのデザインをする時、デザイナーはお客様から様々なことをヒアリングしロゴのテーマ、コンセプトを策定します。その後、デザイン制作に取り組みます。ロゴのテーマ、コンセプトを策定しない状態で作られたロゴに訴求力があるとは、考えられません。

ロゴの役割と効果
会社名や商品・サービスをネットで検索した時に、 似たような名前の会社、サービス、商品が出てきて どれが探しているものか わからない時があると思います。

そんな時に識別の印になるのがロゴです。ロゴは、会社・お店・商品・サービスの〈印〉です。 他の会社やお店の似たような商品やサービスと区別をする〈印〉となります。

ロゴは商品やサービスの〈良さ〉と共に認知され記憶されます。(ブランド認知といわれています) ロゴを見た時に、商品やサービスの〈良さ〉を思い出します。(ブランド再生といわれています) 商品をまた購入したい時サービスをまた利用したい時商品やサービスの〈良さ〉と共にロゴを思い出します。

社内ではロゴにより愛社精神が芽生えたり、自信や誇りなどから心のパワーが引き出されたりします。
ロゴの効能は下記があげられます。
・イメージの伝達 ・使命、ビジョンの表明  ・認知  ・他との区別
・ブランドの形成 ・安心、信頼の印 ・記憶の補助 ・ブランドの想起、再生
・思いの反芻 ・スタッフの意思統一
心理学で、同じものを6回見ると忘れないと言われ、見れば見るほど親しみを感じ、好きになると言われています。ロゴ、マークを何度も見ることで、商品やサービスの〈良さ=価値〉と共に強い記憶の定着がおこり、リピート利用につながります。
1つのロゴをプレゼン資料から商品・サービス、パッケージ、ホームページ、SPツール、看板、ユニフォーム、社章請求書などにいたるまで、一貫して使用します。

お客様との接点で全社的に重層的に使用することで、より効果が期待できます。

広告、販促物、ホームページ、看板・サインなどでイメージを伝えつつ、提供するサービスや商品、店舗の内装、接客・応対、お問い合わせ窓口、アフターフォローなど、全ての活動において、〈良さ=価値〉を提供することは必須です。

5.視認性の問題
例えば、ロゴを名刺で使う場合、非常に小さくなり、視認性が悪くなります。たまたまテストで作成されたロゴを見ますと、そうしたことを考慮されたロゴができているとは考えにくいです。

6.ロゴ決定の指針の欠如
ロゴをデザインする時、デザイナーは、ロゴ決定の指針も考えながらデザインします。AIで作られたロゴは、全く無視された状態でのデザインとなります。

ロゴ決定の指針は以下になります。
〈感覚的〉
●独創性(独自性)
他と類似しないオリジナリティがあるか
●信頼性
安心できる誠実さを感じるか
●造形性(ファッション性)
多くの人が見て心地よく感じる美しいデザインか
●国際性
海外展開、海外での使用が考えられる場合、国による風習の違いなどを考慮し、受け入れられるデザインか
●先進性(耐久性)
時代の先を見据えた新しさを感じるデザインか
〈機能的〉
●視認性(伝達性)
あらゆる環境化で識別できるか
●展開性
あらゆる媒体に展開しやすいか
●記憶性(話題性)
記憶に残るデザインか
●普遍性(耐久性)
時代の流行に影響を受けず、不特定多数の人が共感できるデザインか
●再現性(展開性)
特殊な媒体であっても正しく表示できるか

以上です。

株式会社小野デザインは、
商標登録状況を確認し、ロゴのデザインをします。

株式会社小野デザイン
日本グラフィックデザイン協会会員
小野健治

お問い合わせは
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TEL.03-3774-8098