倉本聰さんがお亡くなりになりました。
10年ほど前に
日本経済新聞の「私の履歴書」で、
倉本さんの話を読んだことがあります
脚本家になるまでの話や、
テレビの世界に入ってからの
さまざまなエピソードが面白く、
とても印象に残っていました。
当時、たまたまブックオフに立ち寄ったときに、
『愚者の旅 わがドラマ放浪』という
倉本さんの本を見つけました。
「あ、倉本さんの本がある」と思い、購入しました。
倉本さんがどんな気持ちで作品を作っていたのか、
どんなことを考えながら脚本を書いていたのか、
もう少し知りたいと思ったのでした。
本の最初の方に、とても印象に残った話があります。
倉本さんが若い頃に読んだ、加藤道夫さんが書いたジャン・ジロドゥについての文章の中に、
「街を歩いていたら、とてもいい顔をした男に出会った。彼は良い芝居を見た帰り道に違いない」
という一文があったそうです。
倉本さんは、この一文が人生を変えたと書いています。
私はこの言葉が、しばらく自分の中に引っかかっていました。
舞台の良さ・・・
人生を変える・・・
倉本さんが何を考えて作品を作っていたのか。
どんな発想をしていたのか。
どんな気持ちで脚本を書いていたのか。
人が何に笑い、何に泣き、何に心を動かされるのか。
作品を見終わったあと、その人の中に何が残るのか。
そんなことを、倉本さんはずっと考えながら作品を作っていたのではないかと思います。
私はデザインの仕事をしています。
もちろん、ドラマや芝居とデザインは違います。
ただ、ものを作る仕事という意味では、少し似ているところもあるように思います。
デザインも、ただきれいに作ればいいということではありません。
それを見た人が、ちょっといいなと思ったり、興味を持ったり、
もう少し知りたいと思ったり、何か行動してみようと思ったりする。
見た人の気持ちにちょっぴり
「良い芝居を見た帰り道の人は、とてもいい顔をしている」
この言葉は、芝居だけではなく、
ものを作る仕事全般にも通じるものがあるように感じました。
自分が作ったものを見た人が、
少しでもいい気持ちになったり、何かを感じたりしてくれる。
そんなものを作れたらいいなと思います。